書架

読書記録とか。

「ロウソクの科学」が教えてくれること

本当は二つ一気に纏めたかったけど文章量ヤバくなりそうだし一冊一冊……。

f:id:dasori:20191210055907j:plain
「ロウソクの科学」が教えてくれること
著者/ 尾嶋 好美・監修/ 白川 英樹

サイエンス・アイ新書。 科学系ではブルーバックスが有名だけれど、こういう新書もある。 大体ブルーバックスの隣に纏めて置いてある。 当たり外れの多そうな印象だけどフルカラーなのは強み。
図説も多く、ページ数のわりに1日あれば読めてしまう。

「ロウソクの科学」とは電磁誘導等で有名な科学者・ファラデーが児童・一般向けに行った全六回のクリスマス公演のタイトルとほぼ同じ。 このタイトルで科学者兼雑誌編集者のクルックスによって編纂されて書籍が出版された。

原著は岩波のを持ってるけれど、後半は結構難しくなってくる。 絵はあるが白黒。
原著だから雰囲気維持のため仕方ない面もあるが解説も各章の終わりや一番最後の注釈纏めまで飛ばなくてはいけない仕様。

そういった面倒くささと、原著にある長ったらしさを省いてくれたのがこちらの本。
図説はもちろん、実験の様子を写真で大きく取り上げ、一部を現代風にアレンジして読者が取り組めるような解説がなされている。
ぶっちゃけ、コレだけ読んでも「ロウソクの科学、中身なら知ってる」と言えるレベルには上手く纏めてあると思う。
実際、カットも多いけど必要なところは纏めてあるので喩えるなら地上デジタル放送・副音声や解説データ放送付きって感じ。

ファラデーはロウソクに物理現象の内包を見ていて、ロウソクが燃えるのはなぜか? また、燃えないのはなぜか? はたまた、ロウソクに含まれる炭素が燃料に適しているのはなぜか?
を、順を追いながら説明していく。
その長ったらしく掴みどころのないシーンは大胆にカットして、( 例えばファラデーが毛管現象の例に出した金網を用いた表面張力の説明とかはバッサリ
) 逆に必要に応じて解説を加筆して再編集した抄訳。

読みやすく理解しやすいんだけれど、この本はどちらかというとガイド的な感じの役割で、この本に対するそれ以上の感想がなかなか出てこない……。
物質の三態からキチッと図説いれてくれてるので、科学苦手でも「えーっと……」とかならずに済むのはスゴく良い。
写真がオールカラーなので実験の様子が分かりやすい。 綺麗。 サイエンス・アイの強味を発揮してるのも良い。
ファラデーが紹介したロウソクとそれにまつわる科学的側面が知りたいだけならコレで十分。

監修者の白川教授はノーベル賞を受賞した科学者だけれど、彼が学生時代にロウソクの科学を読破できなかったというのは意外。 確かに、原著って文章だけではその場を想像しづらいシーンやらが多いんですよね。 金網の表面張力とか。 いきなり金網取り出して水に突っ込むとか現場見てねーとわからんわ。 こちとら頭の中にロウソクしか用意出来てないってのに。 ( まだ言う )

今現在はこの本の内容を受けて、岩波の「ロウソクの科学」をのんびり読んでるところ。